ふと鏡を見たとき、眉間や目尻に刻まれたシワが、以前より深くなったように感じる…。そんな経験はありませんか?
実はそのシワ、乾燥やたるみだけでなく、「表情のクセ」によって深く刻まれてしまうことがあります。
肌は、表情を作るたびに繰り返し折りたたまれ、まるで紙のように少しずつシワを記憶していくのです。
そんな手強い表情ジワへのアプローチとして注目されているのが、「シンエイク®」という美容成分。
「塗るボトックス」とも呼ばれ、話題を集めています。
「美容医療はハードルが高い…」と感じる方でも、毎日のスキンケアに取り入れやすいのが魅力。肌に優しく働きかけ、シワの目立たない、なめらかな印象へと導く心強い味方です。
この記事では、シンエイク®の働きや他の成分との違い、気になる安全性まで、詳しく解説します。
シンエイク®とは
蛇の毒に着想を得た成分
「シンエイク®」は、蛇の毒が持つ作用にヒントを得て開発された美容成分です。
「蛇の毒」と聞くと少し驚かれるかもしれませんが、実際に毒が含まれているわけではありません。
シンエイク®は、蛇の毒に含まれる「筋肉の収縮をゆるめる働き」を持つ特定の部分(ペプチド)の構造を模倣し、人工的に合成された成分です。もともとは医薬品開発の研究から生まれた知見を応用して誕生しました。
化粧品成分としての正式名称は「ジ酢酸ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミド」です。
美容液やクリームなどに配合され、特に「表情ジワをどうにかしたい」と願う方々から注目されています。

「塗るボトックス」と呼ばれる理由
シンエイク®が「塗るボトックス」と呼ばれるのは、美容医療で用いられるボトックス注射と似たアプローチで表情ジワに働きかけると考えられているためです。
ボトックス注射は、神経から筋肉への指令伝達をブロックし、筋肉の過剰な動きを抑えることでシワを改善します。シンエイクも同様に、表情筋の過剰な収縮にアプローチし、動きをゆるやかにすることで、眉間、目尻、額などにできやすい表情ジワを目立ちにくくする効果が期待されています。
注射ではなく、化粧品として塗るだけで手軽に取り入れられる点も、「塗るボトックス」と呼ばれる理由の一つです。

シンエイク®の美容効果
シンエイク®には、主に以下の美容効果が期待されています。
1. 表情ジワの改善
開発元であるDSM社の試験では、シンエイク®を配合したクリームを使用したグループにおいて、額や目尻のシワの深さが改善し、肌表面がよりなめらかになったという結果が報告されています。(※1)
また、神経筋細胞を用いた実験では、シンエイク塗布後わずか1分で筋肉の収縮を抑える働きが見られ、その効果は数日間持続することも示唆されています。(※1)
これらの結果から、シンエイク®は表情ジワの原因となる筋肉の動きに直接アプローチし、シワを目立ちにくくする効果が期待できると言えます。
(※1 出典:SYN-AKE_Master Presentation_2013-04.pdf)

2. 保湿効果による小ジワのケア
シンエイク®には、肌のバリア機能をサポートする働きも報告されています。
肌表面がなめらかになることに加え、バリア機能が整うことで、水分の蒸発を防ぎ、うるおいを保ちやすい肌状態へと導きます。
これにより、乾燥によって目立ちやすくなる小ジワのケアにも繋がります。
「表情ジワをケアしながら、乾燥対策もしたい」というニーズに応えてくれる成分と言えるでしょう。

シンエイク®に関するQ&A
シンエイク®について、よくある質問にお答えします。
Q. どれくらいで効果を実感できますか?
A. シワ改善には一般的に時間がかかります。特に深い表情ジワの場合、効果を実感するまでには数ヶ月から年単位の継続使用が必要になることもあります。化粧品は医薬品とは異なり、効果の現れ方には個人差があります。「すぐに効果が出ないから」と諦めず、根気強くスキンケアを続けることが大切です。
Q. アルジレリンとは何が違うのですか?
A. アルジレリンもシンエイク®と同様に「塗るボトックス」として知られる人気の美容成分ですが、その構造とアプローチが異なります。
- シンエイク®
- 蛇の毒に含まれるペプチドの構造を模倣。
筋肉の収縮そのものに働きかけることを目指します。
- アルジレリン
- 神経伝達物質(アセチルコリン)の放出に関わるタンパク質の構造を模倣。
神経から筋肉への指令伝達に働きかけることを目指します。
どちらもアミノ酸が連なったペプチドの一種ですが、構成するアミノ酸の種類や構造が異なり、それぞれ違ったメカニズムで肌にアプローチします。
Q. シンエイク®に副作用や危険性はありますか?
A. シンエイク®は、蛇の毒の構造を「模倣」して人工的に合成されたペプチドであり、毒そのものではありません。開発段階で毒性を示す部分は取り除かれ、シワ改善に関わる部分だけを再現した、安全性に配慮された成分です。
これまでに、急性毒性、皮膚刺激性、眼刺激性、アレルギー性、遺伝毒性などに関する多くの安全性試験が行われており、問題は報告されていません。
ただし、どのような化粧品成分でも、個人の肌質や体調、他の配合成分との相性によっては、まれに刺激(赤み、かゆみなど)を感じる可能性はゼロではありません。
肌が敏感な方やご心配な場合は、使用前に腕の内側などでパッチテストを行うことをおすすめします。
万が一、肌に異常を感じた場合は、すぐに使用を中止し、必要に応じて皮膚科専門医にご相談ください。